双極性障害について。

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双極性障害

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  激しい躁状態を伴う「古典的な」双極性障害は、別に精神科医でなくとも誰にでもすぐに分かります。 しかし、実際にはこのような「古典的な」双極性障害は、稀で当院でもほとんどみかけません。

  むしろ、うつ状態は深刻なものの、躁状態はごく軽い双極性障害の方が、圧倒的多数をしめ、うつと実によく誤診されています。 「10年もうつの治療を受けていますが、一向に改善しません。」と、訴えられて遠方から当院を受診される方も多くいられます。

  しかし、そのような方でもたった一回の治療で瞬く間に改善して、処方を変えずとも、その後何年も悪化することなく経過されている方も案外多いのです。 魔法でも何でもありません。 少し視点を変えて、初歩的な双極性障害の治療を行ったに過ぎないのです。 2回目の受診時には、ご本人はきつねにつつまれたような信じがたい表情をされていますが、わたしの方は予想どおりで、特にコメントもしません。

  もちろん、双極性障害の治療は、たいていはこのように簡単にはすみません。 むしろ、うつの治療と違い、格段の高度な技術を要するのが常です。 また、一見うまくいったように見えても、経過を慎重に追っていくことが必須です。 強いストレスが患者さんにふりかかってきたりして、もし急速に悪化するような事態に陥れば、素早く適切な手段を講じることができねばなりません。 このような時に、優柔不断でいるようでは精神科医失格です。

  また、適切な双極性障害の治療を行ったつもりでも、当初はよくても患者さんの状態がジワジワと悪化・後退しているように感じるなら、患者さんの置かれたストレス状況と自分の治療内容を十分に検討し直し、どこに問題点があるのか見出していかないといけません。 症状は、改善させていかねばならず、後退は許されません。

   さらに、私が特に強調したいのは以下のことです。軽い躁状態ともいえない普通程度の気分とうつ状態とを、不規則に短期間のうちに(一日のうちでもコロコロと気分が変化する場合すらあります)反復している例を実によく見かけることです。ほとんどの精神科医はこのようなケースをうつと、診断しています。なぜなら、うつ状態が圧倒的に目立っているからです。

   しかし、うつでは、このように短期間では気分が正常なレベルにまで戻ることは決してありません。 まして、気分が正常レベルとうつ状態を短期間で反復して繰り返すようなことは絶対にありえません。 また、このような場合は、うつの治療で症状が改善して、安定することもありません。 しかし、正しい双極性障害の治療を行えば必ず改善するのです。 ですから、これも双極性障害の一種とするしかないと私は思います。

  多くの精神科医が間違った治療をしているので、うつの治療が難しく見えるだけのことなのです。

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