強迫性障害とは、強迫観念や強迫行為があり、それに強い不安や苦痛を感じたり、そのことにとらわれて多くの時間を費やすために、 日常生活や
社会生活が障害された状態をいいます。
強迫観念とは、不合理的と本人も思っているのに、意志に逆らって侵入してくる考えやイメージのことです。
強迫行為とは駆りたてられるように感じられながら繰り返し行なわれるような行為のことで、強迫観念による苦痛や不安を軽減する、あるいは回避する目的で行なわれます。
脳の機能障害が原因と考えられています。とりわけ、セロトニンという神経伝達物質の脳内での調節障害が有力視されていました。 しかし、セロトニンの調節障害を改善する働きがあるセロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)を使用しても、 強迫性障害の40~60%は改善しないといわれています。
私の経験では、もし、強迫症状があっても気分の起伏があれば、双極性障害に伴う強迫性症状と診断せねばならず、この場合の強迫症状は双極性障害としての治療を厳密にすることによってのみしか改善しません。私は、このようなケースを実に多く治療してきました。ただし、厳密な双極性障害の治療ができている精神科医は、私は一度も見かけたことがありません。それができているなら、当院に来る必要はないのですから、ある意味であたりまえかもしれませんが。
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よく見られる強迫観念や強迫行為
- ・不潔ということに過度にとらわれて心配する。例えば、公衆電話や電車のつり革を使わないようにしている。あるいは、尿や大便に関して過度な心配や嫌悪を感じている
- ・自分や他人を傷つけてしまうかもしれないという恐れをもっている
- ・いやな考えにとらわれて、それからなかなか離れられない
- ・ドアの鍵やガスの元栓、水道の蛇口を閉めたかどうか、何回も確認する
- ・左右の対称性や順序にとらわれて、物事がなかなかはかどらない
- ・何度も手洗いや掃除をする