認知療法
認知療法で注意すべきこと
うつの治療では、軽症で、性格の偏りや未熟さ、あるいは 何事もネガティブに考える傾向が影響を与えていると思われるとき、
あるいは、軽度のうつが長く続くようなとき(気分変調症)などに「認知療法」が効果的な場合があります。
しかし、うつでは原則では薬物治療を優先します。
「認知療法」は急性期を脱したときに併用するのが適切です。
すでに述べたように「認知療法」では、自分の「心のくせ」、認知の歪みのパターンを知り、それを修正していくトレーニングを行うことによって、ものの見方を
柔軟にしていくことを目標とします。
「認知療法」が効果的な理由は、このことを通して、個人の心の奥底に存在する根本的な問題(スキーマ)を
より適応的なものへと変容させていくことにあると思われます。
しかし、長い期間をかけて徐々に行われていくことが望ましいのです。
性急に、自動思考を分析するようなことによってスキーマの問題に立ち入ることは危険です。
スキーマは、意識下の問題ですから、下手なアプローチはかえって不安を煽ることになりかねないのです。
もしスキーマという根本問題に触れていく必要を強く感じるなら、主治医やカウンセラーの指導のもとにおこなうようにしてください。
「認知療法」にも限界がありますので、ひとつの治療法に固執することなく、柔軟な姿勢をもつことが大切です。